『阿q正伝』(あきゅうせいでん/あキューせいでん)は、中国の作家魯迅の小説。1921年 12月4日から1922年 2月12日にかけて新聞『晨報』の週刊付録に一章ずつ発表されたもので、魯迅唯一の中編小説である 。
永井荷風の長編小説。1916年(大正5)8月から17年10月雑誌『文明』に連載、のち私家版50部限定として刊行(十里香館刊、17年12月の日付、実際は翌年1月)。荷風中期の代表作で、大正初めの新橋花柳(かりゅう)界を舞台とする「花柳小説」。尾花家(おばなや)の抱え駒代(こまよ)は実業家吉岡を旦那(だんな)にしているが、人気役者瀬川一糸に夢中になり、吉岡はその報復に菊千代を落籍し、また姐(ねえ)さん芸者力次は芸者あがりの君竜をそそのかして一糸を奪わせる。当世的な金と色と意地の腕くらべであるが、時勢おくれの尾花家の亭主と老妓(ろうぎ)、旧派の文学者南巣(なんそう)らの設定は、それらを相対化している。エロティックな描写を含むが、季節の推移と融(と)け込んだ年中行事や風俗の描出に別趣の詩的な味わいがある。
明治四一年、自然主義の文壇を一撃、魅了した短篇集。シアトル着からNY出帆まで、文明の落差を突く洋行者の眼光と邦人の運命が点滅する「酔美人」「夜半の酒場」―近代人の感性に胚胎した都市の散文が花開く。『ふらんす物語』姉妹篇。