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彼は或大学生と芒原(すすきはら)の中を歩いてゐた。
「君たちはまだ生活慾を盛に持つてゐるだらうね?」
それは彼の真情だつた。彼は実際いつの間にか生活に興味を失つてゐた。
「制作慾もやつぱり生活慾でせう。」
「ところが僕は持つてゐないんだよ。制作慾だけは持つてゐるけれども。」
「ええ、――だつてあなたでも……」
彼は何とも答へなかつた。芒原はいつか赤い穂の上にはつきりと噴火山を露(あらは)し出した。彼はこの噴火山に何か羨望(せんばう)に近いものを感じた。しかしそれは彼自身にもなぜと云ふことはわからなかつた。……
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