海は絶えず
それが暫く続く内に、葦原醜男は少しづつ素戔嗚より先へ進み出した。素戔嗚は
葦原醜男は弓矢を執つても、自信のあるらしい容子であつた。
素戔嗚は眉をひそめながら、
彼は波に揺られながら、日頃に変らない微笑を浮べて、遙に素戔嗚へ声をかけた。素戔嗚は如何に剛情を張つても、この上泳がうと云ふ気にはなれなかつた。……
二人は荒野のはづれにある、小高い大岩の上へ登つた。荒野は目の及ぶ限り、二人の後から吹下す風に、枯草の波を
二人は肩を並べながら、力一ぱい弓を引き
その日の午後素戔嗚は、更に葦原醜男をつれて、島の西に開いた
しかし程なく葦原醜男は、彼自身がまるで鰐のやうに、楽々とこちらへ返つて来た。
さう思ふと素戔嗚は、
「風があつて都合が悪いが、
「畜生! あんな悪賢い浮浪人は、
「好いか? 同時に射るのだぞ。」
「勝負があつたか?」
「何度やつても同じ事だ。それより面倒でも一走り、おれの矢を探しに行つてくれい。あれは高天原の国から来た、おれの大事な
「今度こそあの男を海に沈めて、邪魔を払はうと思つたのだが、――」
「もつと御泳ぎになりますか?」
「ええ、比べて見ませう。」
「いいえ――もう一度やつて見ませうか?」
葦原醜男は云ひつかつた通り、風に鳴る荒野へ飛びこんで行つた。すると素戔嗚はその後姿が、高い枯草に隠れるや否や、腰に下げた袋の中から、手早く火打鎌と石とを出して、岩の下の